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堤かなめのこれまでの質問

第208回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 令和4年2月4日

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○堤委員 
 皆様、こんにちは。立憲民主党一期生、福岡五区選出の堤かなめです。
 野田大臣とは同年生まれでございます。私は十月生まれですので、大臣が一か月ほど先輩ということになります。もちろん国会では大臣が大先輩でございます。私にとりましては国会初質問ですので、どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。
 まず、こども家庭庁の名称についてでございます。
 子供は家庭を基盤に育ちます。これは先ほどの森田委員の質問にもございました。私もそう思っております。家庭養育の重要性につきましては、この後に後段で述べさせていただきます。しかし、子育てを担っているのは、これも先ほどお話ありましたが、家庭だけではありません。保育所、幼稚園、学校、児童養護施設、地域、企業など、社会全体で子育てを担っております。
 実際に政府は、原案段階では家庭という言葉を外していたと聞いています。なぜなら、家庭という言葉に傷ついてしまうという、親による虐待経験者の声を尊重したからだと聞いております。
 現在、長引くコロナ禍の中、本当に皆さん大変な思いをされていると思います。外出自粛なので、ステイホーム、家にいる在宅の時間が増えております。その中で、本当に、家庭はよいもの、温かいところであってほしいと思いますが、残念ながら、実際に、その中でDVや虐待が増えてしまった、家庭にいづらい、そういった人たちがいるということも確かです。また、生まれ落ちたときから家庭のない子供もいれば、幼いときに家庭が崩壊した子供もいますし、私自身のように子供のいない家庭もございます。
 そこで、野田大臣にお聞きします。
 なぜ、こども庁からこども家庭庁に名称を変更したのでしょうか。こういった人たちの声はどう思われているのでしょうか。また、名称の変更が、社会全体で子供を支えていくという理念の後退につながってしまうのではないか、そう懸念する声もありますが、いかがでしょうか。野田大臣、よろしくお願いします。

○野田国務大臣
 初当選おめでとうございます。生まれ年も御一緒と今お話がありました。私も実は、取れたところは北九州市でございます。非常に近いところに一時期は御一緒していたんだな、そんな感じがします。
 質問にお答えしたいと思います。
 まず、家庭という言葉についてですけれども、児童の権利に関する条約の前文の考え方において、子供は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされているところです。子供は家庭を基盤、居場所としており、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てを社会全体でしっかりと支えることが子供の幸せにつながるとの考えから、新たな組織の名称をこども家庭庁としたところです。
 これは、もとより子育ての責任を家庭のみに負わせるという趣旨ではありません。また、家庭における養育が困難な子供については国が責任を持って支えていきます。子供を真ん中に据えて、子供の視点に立って、子供の権利を保障し、子供の健やかな成長を社会全体で後押しするための組織であるという考えには、何ら変わりがありません。

○堤委員
 今、野田大臣から、社会全体で子供を支えていく、そういった理念を再び確認することができました。
 しかし、私はやはり、先ほど申しましたように、家庭という言葉、これに傷ついてしまう、家庭の中、本当にその中でこれまでも大変な思いをされてこられた、そういう人たちのことを考えますと、やはり、こども庁という言葉が、そういう名称がよかったのではないか、すべきだったのではないかと思っておりますが、次の質問に移りたいと思います。
 二つ目に、子供政策予算の倍増についてです。
 去る二月一日の衆議院予算委員会におきまして、我が会派の早稲田ゆき委員が、子供政策に必要な予算に関する質問を行いました。野田大臣は、岸田首相から倍増とおっしゃっていただきました、議員御指摘のとおり、フランスとか北欧の国々のパーセンテージに比べると、日本はまだまだ頑張れるんじゃないか、つまり、ほかの国が当たり前にやっている予算の計上が日本ではできていないということなので、そんなに無理なことではないんじゃないかと思いますとお答えになっておられます。
 改めて、野田大臣にお聞きします。
 子供政策の予算倍増、予算倍増を実現していただけるということでよろしいでしょうか。できれば、はいかいいえで簡潔にお答えください。

○野田国務大臣
 子供政策に関する予算をどんどん増やしていくのかという問いであれば、イエスであります。

○堤委員
 問いと違いますね。倍増かどうかと。
 どんどん増やす。少しずつ、一%でも増えてもどんどん増やすということですから、もう一度お願いいたします。

○野田国務大臣
 とにかく子供政策についてはしっかりと予算を内容に応じてつけていく、それがどの程度かというのは、これから皆さんと知恵を出していきたいと思います。

○堤委員
 岸田首相は倍増とおっしゃったという御答弁をされていましたが、これはどういう意味でしょうか。

○野田国務大臣
 私もしっかり調べましたが、これは、総裁選挙、自民党の総裁選挙の中の討論会の中で四候補が、OECDの中では非常に低くて、諸外国に比べてこれだけだけれども、いいところに合わせると倍ぐらい出さなきゃいけないけれどもどうするんだということについて、四候補、私も含めてですが、それは必要だというふうに答えた、そのことだと思っています。

○堤委員
 総裁選の中でおっしゃったということですね。やはり、そうおっしゃったということ、そしてそれをまた予算委員会の中で野田大臣が更に引いて、引用してお答えになったということ、その意味は非常に重いと思います。今うなずいていただいております。もう一度御答弁をお願いいたします。

○野田国務大臣
 将来しっかり子供政策の予算をつけていきたいと。

○堤委員
 なかなかお答えいただけないということで、大変残念に、落胆しております。
 立憲民主党は、昨年の衆議院選挙におきまして、子ども・子育て予算の倍増を公約としておりました。これは先ほど大臣からおっしゃっていただきましたように、日本の家族関係支出、これは先進国の中で最低レベルである。この家族関係支出と出生率というのは相関関係がある。出生率を高めるという意味からも、非常に、この家族関係支出、子ども・子育て予算、これを増やしていく、思い切って倍増するというのは、大変大きな意味を持っています。
 また、このこども省、先ほどもありましたが、省庁のただの単なる寄せ集めだという批判もございます。この批判を払拭するためにも、やはり予算、これは倍増ということをしていただきたいと思っています。
 やはり、立憲民主党が言っていた倍増、これを実現できるかなと思ったんですけれども、できないようですので、ちょっと残念ですが、次に移りたいと思います。(発言する者あり)もう一回聞いた方がいいということですが、もう一度確認させていただきます。
 倍増、岸田首相も総裁選のときに訴えておられた、そして野田大臣自身もそれを引いて御答弁された、この予算倍増、国民も期待していると思います。どうぞよろしくお願いします。

○野田国務大臣
 しっかり基本計画の下で実行して、結果としてどのくらいになりますか分かりませんが、高みを目指してしっかり予算をつけていきたいと思っています。

○堤委員
 これ以上やっても同じことということが分かりましたので、次に移りたいと思います。
 里親委託の拡充についてでございます。
 まず、里親委託の現状です。
 今、親と暮らせない子供たちは、日本におよそ三万五千人。我が国における社会的養育、これは戦争孤児のための施設に始まりました。しかし、現在では、疾病、多重債務、ギャンブル、アルコールなどの依存症、DV、虐待など、様々な要因があるとのことです。また、障害のある子供も増えているということです。
 資料一を御覧になってください。
 これは、親と暮らせない子供、この子供たちは、この三つ、資料にございますように、児童養護施設、乳児院、里親等、この三つの中のいずれかで暮らしているというのが現状でございます。資料、野田大臣、見つからないようですが。
 その中で、平成二十二年度末から令和二年度末まで、この十年間の推移でございます。こうして見ますと、例えば里親のところですね、里親等とありますが、里親等の中にはファミリーホームという形態のものも含まれております。この里親等の推移を見ていただきますと、毎年一%、本当に見事に、小数点以下を考慮に入れなければ、二十二年度末から、一二%、その翌年が一三、そして一四、一五、一六、一七、一八、一九、二〇、二一、二二と、毎年見事に一%ずつ、ほんの少しずつだけ増えているということです。
 現在、直近の数字が、里親等委託率、これが二割ということになっております。この二割という数字は、これも先進国の中で非常に低い。例えば、オーストラリアでの里親委託率はおよそ九割、里親が九割ですね、アメリカでは八割、イギリスでは七割、ドイツ、フランス、イタリアではおおむね五割前後、韓国では三割、そういう状況になっております。しかし、日本は二割にとどまっています。
 そこで、この現状についてどう認識されているのか、お聞きいたします。

○佐藤副大臣
 虐待などの事情によりまして親元で暮らすことができない子供たちにも、温かい家庭的な養育環境を提供していくことは必要であると考えております。
 平成二十八年の児童福祉法改正では、こうした子供たちが家庭における養育環境と同様の環境において養育されるよう必要な措置を講ずるとする家庭養育優先原則が法律上において明確されました。
 現在、各都道府県におきまして、都道府県社会的養育推進計画を策定し、里親等委託の推進を始めとした家庭養育優先原則を徹底するための取組を行っているところであります。厚生労働省は、里親委託に意欲のある自治体への補助金のかさ上げを行い、都道府県の取組を推進しているところであります。
 里親委託率は、目標としては、比較してまだ低い水準ではありますけれども、その進捗を把握しながら、必要な支援を検討し、里親等委託推進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

○堤委員
 今おっしゃられましたように、二〇一六年の児童福祉法改正、これにおいて、家庭養育優先原則、これが明記されたということです。これは、これまで日本では大規模な施設での養育、それが中心だった社会的養育、これを大きく百八十度転換するものだったということで、評価されているものでございます。
 確かに、これまで限られた予算や人員体制の中で、施設の職員の方々、本当に精いっぱい子供たちに愛情を注いでくださっております。そのことには本当に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 しかしながら、施設での養育は、養育者が一日の中で固定されずに交代制で替わっていくなど、どうしても愛着形成、この愛着形成が大変大事だということですが、これに限界があると言わざるを得ません。施設で何年も生活して、例えば小学生、中学生になってから里親の家庭に移るというのは、子供にとっても里親さんにとっても大きな負担になる、そう言われております。
 そこで、やはり乳幼児期から、早い時期から家庭的環境で育つということが大変大事かと思うんですけれども、新しい社会的養育ビジョン、これが、この法改正の翌年、二〇一七年、平成二十九年に、先ほど副大臣からもお話がありました家庭養育優先の理念、これを具体化するために出されました。
 資料の二を御覧ください。
 これは、新しい社会的養育ビジョン、厚労省のホームページ、第二十回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会で出された資料でございます。
 ここで、乳幼児の家庭養育原則の徹底と、年限を明確にした取組目標ということが打ち出されております。特に、二ポツ目のところ、三行目からですね、愛着形成に最も重要な時期である三歳未満についてはおおむね五年以内に、それ以外の就業前の子供についてはおおむね七年以内に里親委託率七五%、今、日本は二割です、二〇%前後ですが、これを五年以内に実現し、学童期以降はおおむね十年以内をめどに里親委託率五〇%以上を実現する、そういったことが掲げられております。
 そこで、お聞きします。これらの数値目標は五年前に打ち出されたものですけれども、これらは政府の目標だということでよろしいでしょうか。確認いたします。

○佐藤副大臣
 今委員御指摘の平成二十九年に取りまとめました新しい社会的養育ビジョンでは、里親委託率の目標として、御指摘がありましたように、三歳未満はおおむね五年以内、それ以外の就学前の子供についてはおおむね七年以内に里親委託率七五%以上を実現すること、また、学童期以降はおおむね十年以内をめどに里親委託率五〇%以上を実現することを明記をしているところであります。
 このビジョンを受けまして、各都道府県が里親委託率の目標設定を含む社会的養育推進計画を策定し、令和二年度からこれに基づく取組を実施しているところであります。

○堤委員
 もう一度。最後の方がよく分からなかったんですけれども、政府の目標として掲げていらっしゃるとすれば、何年から何年までということなんでしょうか。よろしくお願いします。

○佐藤副大臣
 先ほどもお話をさせていただきましたけれども、この社会的養育ビジョンに掲げてある目標値、それから達成時期、これらの目標に取り組んでいきたいと考えているところであります。

○堤委員
 確認しますが、といいますと、何年から何年ですか。はっきりと、何年から何年までの間に何%を達成するとおっしゃっていただけませんでしょうか。

○佐藤副大臣
 令和二年度を初年度として、三歳未満についてはおおむね五年以内、それ以外の就学前の子供についてはおおむね七年以内に里親委託率七五%以上を実現し、学童期はおおむね十年以内をめどに五〇%以上を実現していくというのが目標であります。

○堤委員
 分かりました。政府目標は、令和二年、二〇二〇年から五年間で三歳未満は七五%ということですね。分かりました。
 ということは、ビジョンが出されてからすぐではなく、三年近く政府は目標を立てなかったということになりますが、それでよろしいですか。

○岸本政府参考人
 お答えいたします。
 社会的養育ビジョン、御指摘のとおり、平成二十九年の八月に出されたものでございます。その後、厚生労働省におきましては、平成二十八年改正、平成二十九年改正など、児童福祉法の累次の改正の施行準備なども進めまして、それと併せて、里親委託の推進についてどんな方策でやっていくか、こういったことを検討いたしまして、令和二年度を初年度として推進しております。
 また、実際に、里親委託につきましては、里親さんの開拓ですとか委託ですとか、そういったことは都道府県の事務でございますので、各都道府県で実情に応じて目標を立てていただく、それを社会的養育推進計画に掲げていただくという形で目標を立てていただき、それを厚生労働省としても支援してまいるという形で進めているものでございます。

○堤委員
 御準備に時間がかかった、御準備に時間が必要だったということはあるかと思いますけれども、しかし、また資料の一をもう一度御覧になっていただきたいんですけれども、里親委託率は本当にずっと低い、一%ずつしか増えていない。里親が日本では非常に少ないということは、十年、二十年前から、この社会的養育ビジョンが出るずっと前から言われ続けていたことなんですね。これをずっと放置してきた政府の責任は大きい。やはり、子供たちは温かい家庭の環境の中に迎え入れてほしいという思いを持っている、そういう子供たちがたくさんいるわけですから、これを放置してきた責任は大きい。
 そして、子供たちの育ちにとって家庭的な環境が大事、愛着関係が大事だという研究もどんどんこの十年、二十年で積み重ねられてきました。そういったことをこれまでずっと顧みられなかった、そのことについても、私は責任が大きいのではないかと思っております。
 是非、今後、先ほど野田大臣からも、先進国に子供の状況が遅れているから追いつきたいという言葉もありました。それを進めていきたいと思っております。
 ですから、今後、令和二年からという、七五%という高い目標を実現するには、現場において、予算の増員、組織体制の再編、職員の増員などの点が必要になってまいりますけれども、最も重要なのはやはり予算の確保かと思います。現場で頑張っていらっしゃる都道府県に対する補助について、どの程度増額するのでしょうか。具体的にお答えください。

○佐藤副大臣
 里親委託の推進には、里親の開拓や育成、マッチングの支援、委託後の支援など包括的な支援体制を構築することが必要であり、これまでも自治体や里親支援を行う機関の体制強化を支援してきたところでございます。
 これらの支援は、児童虐待・DV対策等総合支援事業の予算の一部で実施しているものでありますが、令和元年度予算では百六十九億円であったものを令和四年度予算案では約二百十二億円を計上しておりまして、社会的養育推進計画に基づく取組が開始される前と比較して、三年間で約四十四億円の増額を行っているところであります。
 また、令和三年度予算から、令和六年度末時点の三歳児未満の里親等委託率七五%以上を目指す自治体など、意欲的に取り組む自治体に対しては、里親支援に関する事業の補助率を二分の一から三分の二に引き上げるとともに、児童養護施設や乳児院といった施設において里親支援を行う職員の増員を行うことができることとしております。
 さらに、現在検討を進めている児童福祉法等改正案におきましては、里親の支援等に関する事業を行う施設を児童福祉施設として制度上位置づけ、里親支援の充実を図るということとしております。
 こうした取組を通じて、里親支援に関する取組をより一層充実してまいりたいと考えているところであります。

○堤委員
 里親支援を充実していただけるということは分かりました。
 ただ、三年で四十四億という予算の増加ということですが、これは倍増にももちろんなっていませんね。そういう状況で、今これが、先ほどから何度も申し上げましたように、毎年一%ですよね。これは、例えば倍増して二%になったとしても、十年で一〇%ですから三割にしかならない、七五%にはほど遠いわけです。それくらい、この五年で七五%というのを達成するのは大変なことだと思います。
 そのためには、やはり本気で、三倍、四倍の予算が必要かと思いますけれども、野田大臣、今度はしっかり答えていただきたいんですが、よろしくお願いします。

○野田国務大臣
 現在、里親につきましては厚生労働省の方でしっかり取り組んでいただいているので、今私が申し上げたいことは、お金ありきではなくて、やはり里親制度そのものについて周知徹底されていないんじゃないかと。
 私自身は、少子化対策で取り組んできたことの一つに、養子縁組あっせんというのがありますし、不妊治療の保険適用というのがありますね。それは、やはり、一人でも親になりたいと願っている人が子供と出会う機会をつくることなんですが、そういう類似のことであっても、実は縦割りで、特別養子縁組と里親制度というのは残念ながらリンクしていない。また、不妊治療で子供を授からない状況のときに、親として生きていくためにはというところで里親という話も出てこない。
 そういう、やはり縦割りの中で、本来もうちょっとスムーズにできたこと、お金がなくても制度的にできるんじゃないかということを、まず知恵を出して、その上で、やはり一番大事なことは、家庭養護にせよ児童養護にせよ、そこに行かなくて済むような対策を取ることが大事なんだ、そういうことをまず原点に置かないと、家庭養護に何%行きましたからこの国は幸せですではなく、やはり基本的には、そういうふうに、先ほど温かい家庭とおっしゃったけれども、その家庭がぐらぐらしたときにサポートできる社会の体制をつくるということも極めて重要なので、まずそういう様々なプログラムをみんなで発出した後に、どれだけの費用がかかるかということを言うのであって、初めにお金があるから大丈夫だということではないのではないかと思っています。

○堤委員
 もちろん、予算、お金の問題ではないと私も思っております。体制強化ですとか、いろいろ組織を変えていくこと、いろいろな知恵を絞ること、それはもちろん大切です。
 でも、これまでずっと一〇%、二〇%だった里親率を七五%に引き上げるというのは普通ではないし、全国知事会でも、やはり、児童福祉の里親の支援をしている人たちも、その専門職ではなくて、ほかの業務と、児童相談所で虐待などの事案が入ってくるとそちらに取られてしまう。元々、児童相談所は人員が足りていない、人が足りていない。一人で何百件も、何百件とは言いませんけれども、百件以上そういった事案を抱えている、そういう人が足りない中で御努力されている。元々そういう逼迫した状況の中で、やはり、そこで今度は里親開拓もしろと言われても、なかなかそこまで手が届かない。日々入ってくる児童虐待の、先ほどおっしゃいましたように、そういった元、そこに行かない、児童虐待を予防していく、これも本当に大切なことだと思っております。
 これをするためにも、やはり児童相談所の予算を拡充していく、そういったことも大切だと思っております。やはり、余りにも他の先進国と比べて予算的に見ても少なかった、これが現状だと思いますので、その辺りはしっかり獲得していただきたいと思っております。
 話を変えますけれども、政治の基本は、私自身、一隅を照らす、これは国宝なりという、天台宗の開祖最澄の言葉にあると思っております。そういった予算を本当に困難な厳しい環境に置かれている子供たちに充てていただきたいと思っております。
 また、もとより、お金の問題ではないんですけれども、子供虐待によって生じる社会的な経費や損失が、二〇一二年度、これも十年前に試算されておりますが、日本国内では少なくとも年間一・六兆円に上るという試算、これを当時の日本子ども家庭総合研究所主任研究員の和田一郎氏らがまとめております。
 子供虐待の社会的コストの試算は、欧米諸国では行われてきましたけれども、日本ではこのときが初めてということです。本当にそういう意味で、この領域、大変日本は遅れているということはもう何度も申し上げているとおりでございます。
 社会的コストのうち、直接的費用としては、虐待に対応する児童相談所、保護された子供が暮らす児童養護施設など、間接的費用としては、自殺による損失、精神疾患に係る医療費、学力低下による賃金への影響、反社会的な行為による社会の負担などとなっています。
 困難な厳しい環境に置かれている子供たちのために重点的に予算を使って早期に介入することで、野田大臣もおっしゃっておられましたように、虐待を予防し、虐待の連鎖を断ち切り、長期的には年間一・六兆円に上るような社会的コストを少しずつ削減していくことになるのではないかと思っております。どのようにお考えか、御所見をお願いいたします。

○野田国務大臣
 まさにおっしゃるとおりでございまして、日本はどうしても、私も長らくこの国会に身を置かせていただいてきたんですけれども、やはり子供という言葉が出てこない職場でありました。優先順位が非常に低い。そういう中で、どうしてもやるべきことができてこなかったんじゃないかと思っています。
 幸い、この数年、各党多くの方々が、男女問わず、男性の方も積極的に子供の政策について議論をなさるようになってきたことで、まず国民各界各層に関心を持っていただいて、そして、今私たちが直面している最大の国難というのは少子化による人口減少なんだ、また、その少子化の中でも、子供がやはりきちっとその人権、権利を守られていないから、こういう児童虐待についても、その後の養護についてもひどい状況にある、そういうことを、やはり遅きに失したと言われるかもしれませんけれども、ようやく、今ここに集う皆さんのおかげでやるべきことが見えてきた。
 それを受けて、やはり、こども家庭庁を創設して、そして、今御指摘のような様々な問題をしっかり受け止めて、責任を持って解決していく、子供目線でやっていくというのが今の私たちの任務だと思っていますので、しっかり取り組みたいと思います。

○堤委員
 それでは次に、虐待死の防止と里親委託の拡充について、ちょっとそこまでは行かないかもしれませんが、まず虐待死について、御紹介といいますか、この表の三を見ていただければと思います。
 これは、死亡時点の子供の年齢、残念ながら、本当に痛ましいことですが、心中以外の虐待死の状況でございます。
 赤線のところを見ていただければ分かりますが、十八歳未満の子供たちの状況ですけれども、圧倒的に、この赤線を引いているところ、ゼロ歳児の虐待死が多いということです。多いときでは七割近く、そして少ないときでも四割近くです。そういった状況がございます。
 我が国では、多少の増減がありますが、虐待で死亡する十八歳未満の子供の半数近くがゼロ歳児の赤ちゃんであり、その中でも、ゼロか月、ゼロ日の赤ちゃんの死亡数が最も多いことが分かっています。つまり、女性が一人きりで自宅や公園のトイレなどで子供を産み、そのまま捨ててしまったり殺害してしまうという事件が、痛ましいことに、少なくありません。
 このような新生児の虐待を防ぐという取組が、新生児里親委託でございます。赤ちゃん縁組とも言いますけれども、この取組はそういう意味でも大変重要です。赤ちゃん縁組とは、何らかの事情で生みの親が育てることができない赤ちゃんを、特別養子縁組を前提とした里親委託によって、生後四週間未満の新生児のときから家庭の中で育てる取組のことでございます。
 私は、県議時代の二〇一五年二月、今から七年前ですが、この赤ちゃん縁組について質問いたしました。里親の質問は以前にも多くなされていましたが、赤ちゃん縁組についての質問は少なくとも福岡県では初めてでした。
 同年一月に発表されました書籍、「「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす 愛知方式がつないだ命」には、次のような事例が紹介されています。高校生の真美さんは、たった一回の性暴力被害で妊娠してしまう。性暴力自体をまずなくさなければいけないということではありますけれども、これについてもまた後日質問したいと思っておりますが、性暴力被害で妊娠してしまい、両親にも打ち明けられずに苦しみ続け、自殺を図るつもりで遺書まで書いていました。ふだんとは違った真美さん、仮名ですけれども、の様子を不審に思った母親が真美さんから話を聞き、自殺を阻止することができました。しかし、そのとき既に真美さんは妊娠七か月を過ぎており、産むという選択しかなかったということです。
 もう時間になりましたので、ちょっと途中ですけれども、こういった高校生を救う、そういった取組なんですね。赤ちゃん縁組については書籍に詳しくございますので、是非読んでいただければと思っております。
 これは途中になりましたので、また改めて質問させていただきたいと思います。
 本当に今日はありがとうございました。