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堤かなめのこれまでの質問

「211回通常国会」(2023年1月23日~6月21日)
「212回臨時国会」(2023年10月20日~12月13日)

第211回国会 衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 第3号 令和5年3月14日

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○堤委員 
皆様、おはようございます。立憲民主党の堤かなめでございます。
 地域活性化に資するだけでなく、子供に優しく環境によい、持続可能な農業についてお聞きします。
 一点目に、農業基本法におけるみどり戦略の位置づけについてです。
 現在、農政の基本理念や政策の方向性を示す食料・農業・農村基本法の見直しに向けた議論が行われています。この背景には、基本法が、制定からおよそ二十年がたち、農業を取り巻く環境が大きく変わっているという状況があると聞いています。
 例えば、世界的には、EUが二〇二〇年に策定したファーム・トゥー・フォーク、農場から食卓まで戦略に基づき、欧州諸国は、二〇五〇年までに気候中立、温室効果ガスの排出ゼロを達成すべく、既に地産地消、有機農産物の拡大や食品ロスの削減など、持続可能な食料供給に向け歩み始めています。
 御案内のように、我が国においても、EUの一年遅れではありますが、方向性を同じくするみどりの食料システム戦略が一昨年五月に策定され、昨年四月にみどりの食料システム法が成立し、同年七月一日に施行されました。
 このように、我が国も、有機農業へと大きく舵を切った、農政の大転換を打ち出したからには、当然、改正農業基本法の主要施策の柱にみどりの食料システム戦略を位置づけ、更に強力に進めていただけるものと期待しておりますが、いかがでしょうか。御見解をお聞かせください。

○岩間政府参考人 
お答え申し上げます。
 農林水産省は、持続可能な食料システムを構築するため、食料、農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するための政策方針でありますみどりの食料システム戦略を令和三年五月に策定したところでございます。
 御質問の基本法でございますが、現在、食料・農業・農村基本法の検証、見直しに向けた検討を進めるため、食料・農業・農村政策審議会の基本法検証部会におきまして議論が行われてございます。委員御指摘の、みどりの食料システム戦略を含めた持続可能な農業の確立につきましても、本年、令和五年一月の検証部会の検討テーマとされたところでございます。
 引き続き検証を進め、国民的コンセンサスを形成しながら、六月を目途に政策の新たな展開方向を取りまとめてまいります。

○堤委員 
生物多様性を守るため、気候変動による災害リスクを減らすため、子供たちの未来のため、みどりの食料システム戦略は大変大切です。基本法の中に重きを置いて位置づけていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 二点目に、食料自給率の数値目標についてです。
 政府は、二〇〇五年までに、カロリーベースの食料自給率を四五%にするという目標を掲げていました。しかし、この目標も、その後の二〇一〇年、二〇一五年、二〇二〇年の目標も達成されませんでした。何とこれまで既に四回も目標が達成できなかったわけです。二十年近く、多少の増減はありますが、四〇%に届かない低い値のままなんです。このままでは、二〇三〇年、七年後に四五%という目標も本当に達成できるのか心配です。スローガン、意気込みだけでは達成できません。
 二〇三〇年までに食料自給率四五%の目標、二〇三〇・四五を達成するには、もっと強力に、もっと具体的に進める必要があると考えますが、今度こそは、確実に、必ず目標を達成できるのか、お聞きします。(発言する者あり)
 済みません、私語はちょっと慎んでいただけませんでしょうか、与党の皆さん。出席も少ないし、ちょっと緊張感が足りないのではないかと思います。
 また、もし四五%を達成できたとしても、依然として先進国の中で最低レベルであることに変わりはありません。立憲民主党は食料自給率五〇%を掲げています。食料安全保障の重要性が再認識されている中、せめて五〇%に目標を引き上げるべきかと考えますが、こちらについても御見解をお願いいたします。

○前島政府参考人 
お答えいたします。
 現行の基本計画における食料自給率目標の設定に当たりましては、食料・農業・農村政策審議会におきまして、目標に到達するために必要な要因を検証した上で、品目ごとに消費面と生産面で克服すべき課題を具体的に明記し、令和十二年度の食料自給率目標を設定したところでございます。
 食料自給率の向上のためには、輸入依存度の高い作物の国産化が重要でございます。例えば麦、大豆につきましては、湿害や連作障害等により単収が伸び悩んでおります。克服すべき課題といたしまして、作付の団地化や排水対策の更なる強化などによる生産向上を現行の基本計画に明記しているところでございます。こうした課題に対応するため、麦、大豆の増産に取り組む産地の作付の団地化や排水対策技術の導入の支援を盛り込んでいるところでございます。
 このような取組を進めてきた中で、小麦につきましては、平成三十年度の七十六万トンの生産量が令和三年度には百十万トンに増加し、大豆につきましては、平成三十年度の二十一万トンの生産量が令和三年度には二十五万トンに増加しているところでございます。
 今後とも、小麦、大豆、加工・業務野菜、飼料作物などの海外依存の高い品目の生産拡大を着実に実施し、食料自給率の目標達成に向けて取り組んでまいります。
 続きまして、食料自給率を五〇%に目標をすべきではないかという御指摘についてでございます。
 食料自給率目標は、国内の農業生産と食料消費に関する指針として定めるものでございます。将来の農業生産や食料消費の動向を品目ごとに適切に見通して定める必要がございます。
 平成二十二年の食料・農業・農村基本計画では、カロリーベース五〇%、生産額ベース七〇%という食料自給率目標を掲げておりました。平成二十六年の食料・農業・農村政策審議会におきまして、減少が続く米の消費が五%以上の増加に転じること、二毛作可能な全ての水田で小麦等を生産することなど、現実に見合わない品目別の需要量、生産量の見通しに基づいており、適切ではない旨の分析が示されております。
 こうした検証を踏まえまして、現行の基本計画におきましては、食料自給率の目標を、カロリーベースで四五%、生産額ベースで七五%と定めているところでございまして、まずはこの目標の達成に向け取り組むこととしているところでございます。その上で、更に高い目標の設定につきましては、現行の目標を達成した段階で検討することが適切と考えております。

○堤委員 
国の目標が何度も繰り返し達成できなければ、オオカミ少年ではありませんが、誰も国を信じなくなってしまいます。全国の市町村だって、政府目標を本気で達成しようと努力しなくなってしまうのではないでしょうか。政府目標がこれ以上軽んじられないためにも、今度こそ成し遂げていただきますよう要望しておきます。
 三点目に、有機、オーガニック給食の数値目標の設定についてです。
 みどり戦略では、食料自給率よりも意欲的、野心的な目標を掲げています。二〇五〇年までに、耕地面積に占める有機農業の取組面積を二五%、百万ヘクタールに拡大、農薬の使用量をリスク換算で五〇%低減、化学肥料の使用量を三〇%低減などです。
 諸外国と比べて農薬や化学肥料の使用が多い日本が、EUよりかなり低い目標とはいえ、世界の流れに対応していく姿勢を示したことは高く評価したいと思います。日本の未来、地球の未来のためには、これほど大事な目標値はないと思っています。これを現実離れした夢物語で終わらせてはならない、何としても確実にこれらの数値目標を達成していただきたいと強く思っています。
 さて、昨年四月二十八日に地方創生に関する特別委員会で質疑に立たせていただいた際にも申し上げましたが、有機農作物の消費の拡大で鍵となるのは給食であるということです。
 諸外国では、学校給食を始め、保育所や幼稚園、福祉施設や病院など、公共性の高い施設において提供されている給食、これらの公共食に有機農産物の導入を義務づけ、そして数値目標を設定することで大きな成果を上げています。
 資料一を御覧になっていただければと思います。学校給食における有機食材使用割合についての目標等でございます。諸外国においては、国会図書館に調べていただいた限りでございますが、もっとたくさんあると思うんですけれども、このようになっております。
 例えば、フランスでは、現大統領のマクロン氏が、選挙公約で公共調達の食材の中に有機食材を二〇%入れると掲げ、この公約をまさに実行に移されたわけです。学校給食だけでなく、何と刑務所の食事も含めた公共食の全てにオーガニックの食材を調達価格の二〇%まで入れることを義務化する法律が二〇一八年に定められ、二〇二二年一月に施行されました。さらに、昨年五月には、パリ市議会において、学校給食を二〇二七年から一〇〇%オーガニックに移行することが決議されたとのことです。新規就農を目指す人も、給食に納められるなら安定した収入になると家族も有機農家になることを応援してくれると、給食に後押しされる形で有機農家が増えていっているという状況だそうです。
 後述いたしますように、学校の栄養教諭の役割も重要です。栄養教諭などとも連携して地場産や有機の農作物への理解を深めることで、成人してからの購買行動も変わってまいります。
 我が国では、有機野菜を安定的に供給する体制が整っていない地域があるなど、まだまだ課題が多いことは重々承知しております。当面の間は低い数値であっても仕方がないと思いますが、学校給食における有機農作物の比率の数値目標を設定し、これも段階的に引き上げていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○安岡政府参考人 
お答えいたします。
 委員から御紹介があったとおり、海外においては、数値目標を定めた上で有機給食の普及を推進している国があるほか、地方自治体レベルで定めているところもあると承知しております。
 一方で、我が国では、有機農業に積極的な市町村を中心に有機給食の取組事例が見られ始めている状況でございます。
 農林水産省としては、地域ぐるみで生産から消費まで有機農業に取り組む先進的な市町村、これをオーガニックビレッジと呼んで推進をしているところでございます。この中で有機給食の取組についても支援をしているところでございます。
 有機給食の目標でございますが、考えるに当たっては、まずはこうした取組を通じて実際の事例を一定程度創出することが今は重要だというふうに考えております。
 農林水産省としては、オーガニックビレッジを二〇二五年までに百地区、そして二〇三〇年までに二百地区創出することとしております。まずは、こうした目標に向けて取組を進めた上で、現場の課題やニーズをよく検証、そして把握をしてまいりたいと考えております。

○堤委員 
期待しております。よろしくお願いします。
 四点目に、有機農家や有機給食へのインセンティブについてです。
 昨今の世界情勢の変化によって、化学肥料、農薬、燃料や資材の高騰などもあり、地元の自然由来の堆肥を使う有機農業は相対的に安価となる可能性があり、大きなチャンスを迎えていると思います。
 果樹園や街路樹などの剪定した枝を炭にして使うことで土壌の炭素量を増やし土壌を改良する取組、4パーミルイニシアチブにつきましては、昨年十月に環境委員会で提案させていただきました。ほかにも、河川敷や公園などに生える草、エノキやシメジなどのキノコ類を収穫した後の廃菌床、この廃菌床は、微生物の活動も促進し、土壌改良にすこぶる効果的だそうです。このような自然由来のものは、ほぼ無料、ほとんど費用がかかりません。今こそ有機農家や有機給食に対しインセンティブを大胆に与えていただき、強力に推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○安岡政府参考人 
お答えいたします。
 農林水産省では、有機農業者に対する支援として、環境保全型農業直接支払交付金により、有機農業の取組による営農活動のかかり増し経費を支援、これは十アール当たり一万二千円といった支援をしているほか、令和四年度の補正予算では、新たに有機農業に取り組む農業者に対して、土づくりなど初年度に要する取組への支援として、十アール当たり二万円といった支援を開始したところでございます。
 また、有機農業指導員などによる栽培技術の指導でありますとか、今御紹介がありました、例えば有機物を堆肥化する施設の整備、さらには、生産者や小売業者のマッチング、販路の確保など様々な支援を行っておりまして、農業者が有機農業に取り組みやすくなる環境づくりを進めているところでございます。
 さらに、有機農産物の学校給食への利用については、先ほど御答弁させていただいたとおりですが、地域ぐるみで有機農業に取り組む市町村、オーガニックビレッジへの支援の中で、地域の有機農業者と給食関係者などの連携であるとか、有機農産物を実際に給食に導入する、こういったことへの支援なども行っているところでございます。

○堤委員 
安岡審議官、ありがとうございます。
 確かに、地方でも、首長が非常に有機農業、有機給食に積極的なところでは進んでいると思います。しかし、そうでない首長さんも、インセンティブがたくさんあればやってみようという気持ちになると思いますので、もっと十分インセンティブをよろしくお願いしたいと思っております。
 それでは五点目に、子供の貧困対策としての給食の意義と無償化、有機化についてお聞きします。
 十年ほど前だったかと思います。学校の先生から、夏休みや冬休みなどの長期休暇の後、痩せ細って学校に登校してくる子供がいると聞きまして、ショックを受けました。困窮家庭の子供たちにとって、学校給食はまさに主要な栄養摂取源となっています。
 我が党は、公立小中学校の給食無償化に最優先で取り組むべきだと強く訴えてまいりました。先週、三月十日にも、衆議院文部科学委員会にて我が党の菊田真紀子議員が、給食の年間負担額は、小学校で平均四万九千円、中学校で平均約五万六千円です、物価高で苦しむ家計において非常に重い、大きな負担だと思います、物価高が続く今だからこそ、是非政府として実現していただきたいとただしましたが、永岡文部科学大臣のお答えは、設置者である自治体において適切に御判断いただけるものと考えておりますと、氷どころか氷山のように冷たい答弁しかいただけませんでした。
 資料二を御覧ください。これは本年二月二十二日の日本農業新聞の一面でございます。学校無償化、自治体三割という大きな見出しでございます。国民の思い、我が党の訴えに耳をかすことなく、政府は全く動こうとしませんので、地方自治体が独自に頑張って給食費を無償化している事例が増え、既に三割にも達しています。下線部にありますように、「財政事情による自治体間格差が広がれば、住む場所を選べない子どもの食べる平等が損われかねない。費用負担の在り方を考え直すべき時が来ている」との指摘は、子供の人権という点からも、行政サービスの公平性という点からも無視できません。
 さきに御紹介したフランスでは、給食の有機化と無償化とをセットで公約に掲げた候補者が軒並み当選するという状況になっているそうです。
 今、世界的にも、我が国でも、給食の意義、重要性に注目が集まっていますが、改めて大臣の認識をお聞かせください。あわせて、給食の無償化は、もはや普通の次元です。三割の地方自治体ができているのですから、重要だと思って取り組んでいるのですから、国が取り組まないというのはおかしい話です。
 給食無償化は少子化対策でもあります。異次元の少子化対策と言うのであれば、無償化はもちろん、有機化にも取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小倉国務大臣 
学校給食につきましては文科省の所掌でございますが、その上で申し上げれば、学校給食費の無償化については、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの学校給食法の立法趣旨を踏まえ、設置者である自治体において御判断されるものと承知をしております。
 また、現在、学校給食費については、経済状況が厳しい保護者に対して、生活保護による教育扶助や就学援助を通じて支援されているものと承知をしております。
 さらに、現下の物価高騰に対しましては、政府において地方創生臨時交付金の活用を促し、九九%の自治体において値上げが抑制され、保護者の負担軽減が進んでいると承知をしております。委員に御紹介をいただいた記事の中にも、無償化した市町村四百五十一のうち六割近い二百六十三の自治体におきまして、今私が申し上げた臨時交付金を活用して無償化をし、食材費の価格高騰分も補填をしている、こう書かれているところであります。
 なお、有機農産物の学校給食での利用につきましては、これも農水省の所掌ではありますが、先ほどの答弁にもありましたように、農水省において、有機給食の取組も含め、有機農業を地域ぐるみで推進する先進的な市町村の取組の横展開が進められているもの、こう承知しております。

○堤委員 
今御答弁にありましたように、せっかく無償化した市区町村の中には、国の交付期限の四月以降、無償化を続けられないところが出てくるという危機的状況にあるということです。この際、全国一律に無償化し、さらには有機化を目指していただきたいと強く要望しておきます。
 次に、学校における食育の推進についてお聞きします。
 一点目に、栄養教諭の役割の重要性についてです。
 世界で肥満の子供が、数十年、増加し続けています。世界保健機構、WHOは小児肥満を二十一世紀の最も深刻な公衆衛生の課題の一つとして挙げており、これまでの研究で、小児肥満は成人してからの死亡率の上昇と関連があることが示されています。本年二月には、スウェーデンのカロリンスカ研究所、私も短期間ですが研究員をさせていただいておりました、こちらが、肥満の子供は、そうでない子供に比べ、成人してからの初期の死亡リスクが三倍高く、不安やうつ病になりやすいという研究結果を公表いたしました。
 食育の目的は、適切に食を選択し、健全で健康な食生活を送ることができる人間を育てることにあり、子供の肥満の予防という点からも重要かと思います。もちろん、もっと幅広い意義を持つものかと思いますが、学校における食育と栄養教諭の役割の重要性についてお聞かせください。

○伊藤大臣政務官 
お答えいたします。
 子供たちに対し、食に関する正しい理解や適切な判断力、望ましい食習慣を身につけさせるよう学校において食育を推進することは非常に重要です。
 栄養教諭は、学校給食の管理のほか、各教科における食に関する指導や、その専門性を生かし、食物アレルギーや肥満、痩せなど、食に関する健康課題を持つ子供への個別指導を行うなど、食育を推進する上で重要な役割を果たしております。
 このため、文部科学省におきましては、学校における食育の充実に向けて、指導の手引や食育教材等を作成するとともに、栄養教諭の資質、能力の向上に取組をしているところです。

○堤委員 
栄養教諭の重要性について十分認識していただいているということが分かりました。
 二点目に、栄養教職員の配置の拡充についてです。
 食育における栄養教諭の役割がますます重要になっているというだけでなく、アレルギー対応の仕事も増えてきています。
 資料三を御覧ください。「増える子どもの食物アレルギー」という新聞の記事でございます。食物アレルギーを持つ子供は増加傾向にありまして、食物アレルギーのある子供の割合は、二〇一三年度、十年前の調査では、全体の四・五%、四十人学級におよそ二人でした。現在はもっと増えている可能性があります。
 原因となる食物は、牛乳、鶏卵、小麦、落花生、木の実類、甲殻類、大豆、そば、果実類、魚類など多品目にわたっています。アレルギー原因物質の除去食を作るには、調理器具も全て別にしなければなりません。栄養教職員は、除去食を作るための複雑な工程を作成し、調理員の方々に指示しなければなりません。アレルギーの子供が増えれば、栄養教職員も調理員も仕事の量は大きく増えることになります。
 また、障害を持つ子供など、飲み込みやすいように軟らかくしたり、小さく刻んだりという対応が必要な子供も増えてきています。
 しかしながら、栄養教職員の定数の算定方法は、二〇〇一年から現在まで、およそ二十年据え置かれたまま変わっていません。
 資料四、栄養教諭等の教職員定数の算定を御覧ください。例えば、真ん中のところですが、共同調理場、いわゆるセンター方式ですね、この場合、六千一食以上の給食を作るセンターに三人の栄養教職員の配置となっておりますが、最近では一万食を超えるような大規模なセンターも出てきており、それでも三人しか配置されないというのは余りにも酷だと思います。
 給食センターで働く栄養教諭は、学校給食の管理に加え、配送先の複数の学校の全ての学級の食育も担当することになります。
 そこで、例えば一万食を作る給食センターに勤務する三人の栄養教諭は一人当たり何学級担当することになるのか、教えてください。

○伊藤大臣政務官 
お答えいたします。
 共同調理場に係る栄養教諭等の定数につきましては、義務標準法に基づき、当該共同調理場が給食調理を受け持つ小中学校等の児童生徒数に応じて算定されます。例えば一万食を調理する共同調理場につきましては、三人の栄養教諭等の定数が算定されることとなります。
 なお、共同調理場が受け持つ学校における各学級の人数はまちまちであるため、栄養教諭が一人当たり何学級を担当するのかというお尋ねにつきましては一概にお答えすることが困難であるというふうに考えております。

○堤委員 
平均で結構ですので、お答えできるかと思います、よろしくお願いします。

○伊藤大臣政務官 
機械的にという形での平均的な算定になりまして、そこは御承知いただければと思いますけれども、平均の学級規模から仮に今機械的に計算をした場合には、栄養教諭一人当たり約百三十学級ほどになるかというふうに考えております。

○堤委員 
一人当たり百三十学級ということが分かりました。これを一人が担当するのはちょっと不可能かと思います。
 そして、そこの資料四に示しましたように、最近、加配も行われております。しかし、毎年、全国でたったの十人前後しか増えていません。百三十も担当する栄養教諭がいらっしゃるというのに、全国でたった十人なんですね。加配の総数は来年度予算で四百二十二人、全国にはおよそ千六百市区町村がありますから、単純に計算いたしますと四市町村に一人の加配ということで、全く不十分です。
 アレルギー、障害への対応など、栄養教職員の役割がますます重要になる中、定数の算定方法を見直し、栄養教諭を全校に必ず一人は配置すべきと考えますが、御所見をお聞きします。
 あわせて、本来栄養教諭の業務ではない発注などの仕事をさせられているため、本来の業務である食育になかなか携わることができない現状もあると聞いています。すぐにでも文科省から各市町村教育委員会へ通知を出すなどして本来業務に専念できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○伊藤大臣政務官 
栄養教諭等の教職員定数につきましては、これまでも配置基準の引下げを行うなど計画的に改善を図ってきたほか、近年では、児童生徒に対する食の指導の充実が求められていることを踏まえ、加配定数措置も行っているところです。
 令和五年度予算案におきましてもこうした加配定数の改善を図ったところであり、引き続き、栄養教諭等の定数の改善に取り組むとともに、都道府県等に対し、学校栄養職員から栄養教諭への任用替えの促進を働きかけてまいります。
 また、令和五年一月の有識者会議の議論の取りまとめでは、栄養教諭に求められる役割を各教育委員会の学校管理規則において明確化をする必要性が示されたところでもあります。
 文部科学省におきましても、様々な機会を通じて周知を行い、各教育委員会の取組を促してまいります。

○堤委員 
時間が迫ってきましたので、ちょっとはしょりますが、三点目に、今お答えいただきました栄養教諭の任用替えの促進のため、栄養教諭資格取得の支援についてです。
 二〇〇五年度より、食育の推進を目的として栄養教諭制度が開始されました。それから二十数年がたち、さきに述べましたように、お答えもいただきましたが、栄養教諭の役割はますます高まっています。
 栄養教諭は、子供たち全体に対する食育だけでなく、偏食傾向、肥満傾向、食物アレルギーなどがある生徒一人一人に対して個別に食に関する指導やアドバイスをすることができます。しかし、残念ながら、この個別指導が、例えば、一人につき百三十学級とか、そこまで極端じゃなくても、十数校持っているという事例を聞いています。そうすると、この個別指導がほとんどできない状況にあります。栄養教諭の絶対数が足りないからです。
 資料五の、第四次食育基本計画からの抜粋を御覧いただきたいと思います。1、2、どちらにも学校栄養教職員の栄養教諭への速やかな移行が明記されています。しかしながら、教諭に移行できていない栄養職員の方々が全国で四千人弱いらっしゃるということです。
 確かに、様々な事情から、栄養教諭になることを望まない方もおられます。しかし、望んでいても、それがかなわない方も一定数おられるのも事実です。栄養教諭の免許を取得するには、大学などで免許認定講習と教職員検定を受ける必要があります。しかしながら、大学が遠過ぎる、業務が多忙で時間がないといった理由から諦めざるを得ない状況があります。
 そこで、リモートによる講習など、大学に通わずとも免許が取得できる制度や、講習を受けるための休暇制度、リスキリング休暇といった制度をつくり、基本計画に明記されているように、栄養教諭への速やかな移行を支援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○橋本委員長 
伊藤文部科学大臣政務官、申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

○伊藤大臣政務官 
はい。
 学校栄養職員の栄養教諭への移行を図ることは重要と考えております。
 教育職員免許法におきまして学校栄養職員が栄養教諭の免許状を取得するための特例を設けており、これに基づき、教育委員会が大学と連携し、希望する学校栄養職員に対し免許状取得のための講習を無償で実施している地域もあるというふうに承知をしております。
 引き続き、栄養教諭の役割の重要性につき教育委員会等に対して周知をするとともに、学校栄養職員の栄養教諭への移行に向けた各地域における取組事例を紹介すること等を通じ、栄養教諭の配置促進に努めてまいります。

○堤委員 
紹介するだけでなくて、きちんと、無償化を実施している地方自治体もあるということですので、財政措置もお願いしたいと思います。
 時間ですので、私の質問を終わります。ありがとうございました。