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堤かなめのこれまでの質問

「211回通常国会」(2023年1月23日~6月21日)
「212回臨時国会」(2023年10月20日~12月13日)

第212回国会 衆議院 環境委員会 第2号 令和5年11月10日

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○堤委員
 皆様、おはようございます。立憲民主党の堤かなめです。
 在日米軍基地のPCB廃棄物について質問いたします。
 ポリ塩化ビフェニル、PCBには強い毒性があります。PCBの強い毒性は、一九六八年に起きたカネミ油症事件で広く知られることになりました。この猛毒のPCB廃棄物が、全国の米軍基地に数トン、あるいはもっと大量に残されたまま、放置されたままになっている可能性があります。もしそうであれば、米軍基地で働いたり生活されている方々に健康被害が起こってしまう可能性も否定できません。
 また、最近では、有機フッ素化合物、PFASによる汚染が、沖縄や東京で基地の外にまで及んでいるということが報道されています。基地の周辺の方々、特に、発達の途上にある子供たちへの影響も看過できません。人の命に関わる問題です。
 米軍基地内のPCB廃棄物の保有量や保管の状況などを把握した上で適切に処分すべきとの立場から質問いたします。
 資料一を御覧ください。
 これは、二〇〇三年四月十七日、参議院外交防衛委員会での日本政府の答弁です。下線部一のところを御覧いただきたいと思います。米国の国防省が、二〇〇二年八月二十八日に、在日米軍の施設・区域にある米国製及び日本製の全てのPCB含有物資を米国に搬出して処理、廃棄するという方針を決定したと記されています。二〇〇二年米国方針と呼びたいと思いますが、およそ二十年前のこの方針は、米軍基地の猛毒のPCBは全てアメリカに持ち帰るということを決定したということで、大変重要で意義あるものです。
 ところが、この二〇〇二年米国方針が実は守られていなかった、履行されていなかったのではないかという疑いが出てきました。
 資料二、在沖縄米軍基地におけるPCB廃棄物の保管及び処分を御覧ください。
 十月二十七日に、西日本新聞の記事、米軍PCB、政府が処理、根拠なく肩代わりという記事を読みまして、いろいろ調べました。この表は、防衛省からの資料を基に作成したものです。太枠で囲んだところを見てください。二〇二二年三月三十一日、昨年度末の時点で、沖縄の米軍基地には五千二百六十三キログラム、つまり、およそ五・三トンのPCB廃棄物が保管されていたということが分かります。すなわち、PCB含有物資をアメリカに持ち帰って処理、廃棄するというアメリカの約束、二〇〇二年米国方針は守られなかったのではないか、ほごにされたのではないかという強い懸念を持たざるを得ません。
 下線部三を御覧ください。資料一の下線部三でございます。在日米軍が管理するPCB含有物資の総重量は約三千百十八トンと政府は答弁しています。二十年前にはおよそ三千トン、三千トンものPCB廃棄物があったわけです。
 では、防衛省にお聞きします。
 この二十年間で、どれだけのPCB含有物資が米国に搬出して処理、廃棄されたのか、そして、現在、在日米軍基地にどれだけのPCB含有物資が残されたままになっているのか、お聞きします。簡潔明瞭な御答弁をお願いいたします。

○山野政府参考人
 お答え申し上げます。
 米国国防省は、二〇〇二年に、在日米軍が管理するPCB含有物資の重量は約三千百十八トンである旨発表し、二〇〇三年以降、適宜適切にPCB廃棄物を米国へ搬出して処分してきたと承知をしております。
 その上で、現在に至るまでの間に米国に搬出、処理されたPCB廃棄物の総量や、現在の在日米軍施設・区域内のPCB含有物の保有量については承知をしておりません。
 いずれにいたしましても、在日米軍施設・区域内で使用又は保管されているPCB含有物の状況につきましては、環境省などの関係省庁と連携して米側と協議を行い、その把握に努めているところでございます。

○堤委員
 総量は把握していない、把握に努めているということは、把握していないということだと思います。
 もう一度、資料一の下線部二を御覧ください。
 我が国からの搬出の第一回目ということで、今年、つまり二〇〇三年ということになりますが、の一月十七日に約二十二・四トンが米国に向けて搬出されたということです。二〇〇二年米国方針に基づいて第一回の搬出が行われたということはここで確認できます。三千トンもあるもののうち僅か二十二トンでしかありませんが、ともあれ、第一回の搬出は実施されました。
 じゃ、第二回、第三回はどうなったのか。行われたのか行われなかったのか、その進捗状況、猛毒のPCBの搬出がどうなったのか把握していないということはあり得ない、あってはならない事態です。もしかしたら、今も三千トンを超えるPCB廃棄物が、先ほど適宜適切にとおっしゃっていましたけれども、日本に残ったまま、放置されたままになっているかもしれないということです。そうであれば、ゆゆしき事態です。
 二十年間で全ての搬出が完了したのか。そうでなければ、現在、在日米軍基地にどれだけのPCBが残されたままになっているのか、正確にお調べいただき、この委員会に御報告いただきたいと思います。
 委員長、お取り計らいくださいますよう、よろしくお願いいたします。

○務台委員長
 理事会で協議します。

○堤委員
 委員長にお取り計らいいただけるということですので、理事会で協議されるということで、よろしくお願いいたします。
 では、環境大臣にお聞きします。
 環境省のPCBに関するサイトには、PCB廃棄物を保管している事業者は、毎年度、その保管及び処分の状況に関して届け出なければならない、届出を行わなかった者、又は虚偽の届出をした者は六か月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処せられると明記されています。にもかかわらず、在日米軍基地については、保管も処分の状況も国として把握していないというのはおかしい、理屈に合わないと思います。
 在日米軍基地における猛毒のPCBなどについて、日本政府が米軍基地に立入調査をするなど、まずは正確に把握、環境調査した上で、二〇〇二年米国方針に従い、アメリカ本国に持ち帰って処分していただくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○伊藤国務大臣
 委員御指摘のように、日本において、PCB廃棄物は、保管事業者は自らの責任において確実かつ適正に処理するものとしているところでございます。
 在日米軍施設・区域におけるPCB廃棄物の保管、処分については、米側にて適切に処理されるべきものであると認識しております。
 この日本のPCB処理行政の趣旨を踏まえ、関係省庁と連携して、米側に適切な対応を促してまいりたいと存じます。

○堤委員
 米側に適切な対応をお願いしていただくということですので、よろしくお願いいたします。
 要望しておきます。在日米軍基地で働き、生活している方々の多くは米国籍の方々です。米国にとっても、アメリカにとっても、PCBの保管状況について把握することは、アメリカ人の健康と命を守るため大事であり、異論はないはずだと思います。是非正確な調査を実施し、公表をお願いします。
 次に、米軍が出したPCB廃棄物の処理費を、二〇一八年度以降の四年間で、沖縄県分として計二千二百万円肩代わりしたと報道されています。この報道に間違いがないのか、お聞きします。
 その上で、全国で、この二十年間、総計どのくらいのPCB廃棄物を処理し、どのくらいの費用がかかったのか、そのうち日本政府はどの程度負担したのか、お聞きします。

○山野政府参考人
 お答え申し上げます。
 御指摘の報道にあるとおり、二〇一八年度から二〇二二年度までの間に、返還地を含む在沖米軍施設・区域から発生したPCB廃棄物の処理に要した費用は約二千二百万円であり、総量は約四十トンでございます。
 また、二〇一八年度から二〇二二年度までの間に、返還地を含む全国の在日米軍施設・区域から発生をしたPCB廃棄物の処理に要した費用は約四千九百万円であり、総量は約八十九トンでございます。
 費用につきましては、日本側で負担をしてございます。

○堤委員
 今、二〇一八年から二二年の四年間についてのみお答えいただきました。全国で四千九百万ということだったかと思います。
 私が聞きたいのは、この二十年間の、二〇〇二年米国方針以降の二十年間全てでお聞きしたいと思っておりますので、これもまた、申し訳ございませんが、委員長、是非資料を提出いただきますようにお取り計らいをお願いいたします。

○務台委員長
 理事会で協議します。

○堤委員
 ありがとうございます。
 つまり、もし二〇〇二年米国方針に基づいて全てのPCBをアメリカに持ち帰っていたとすれば、日本政府が処理費を出す必要はなかった、肩代わりする必要はなかったはずです。有識者によれば、処理を肩代わりする法的根拠はなく、本来なら国に持ち帰るべきものだったとのことです。
 二〇〇二年米国方針から二十年以上たっても、米国が持ち帰るべきPCBが残っていること自体問題ですが、米軍が出した猛毒のPCBの処分を日本が肩代わりしていたとは、これもまたゆゆしき事態だと思います。今後は処理を肩代わりすることがないよう、強く要望しておきます。
 最後に、国内での高濃度PCB廃棄物の処分についてです。
 日本のPCB処理施設が間もなく閉鎖されます。国内に五か所あるPCB廃棄物処理施設のうち、北九州、大阪、豊田の三か所では、年内、つまり、あと二か月弱で受付を終了、東京と北海道の二か所は、再来年、二〇二五年度末で終了いたします。
 北九州の施設は、国からの要請で、既に二回、やむなく事業を延長した経緯があります。北九州市のホームページに、二度目の要請を受けた際の対応についての記述がありますので、以下、引用させていただきます。
 北九州市は、国に対し、二度目の要請を安易に受け入れることはできない、今回の要請について、市民によく理解いただくことが先決であり、まずは国において、地元説明に全力を尽くしていただきたい旨を申し入れました。その後、国において、三十八回の市民説明会を行い、延べ九百人を超える市民が参加し、期限を守れなかったことへの不信感や再々延長に対する懸念、事故の不安といった意見、また、地域振興を求める意見がありました。北九州市は、この要請に関する市民や議会から寄せられた様々な意見を真摯に受け止め、処理の安全性の確保、期間内での確実な処理、地域の理解等の全三十項目を条件として改めて取りまとめ、二〇二二年四月、昨年四月、国へ提示しました。国からは、条件を全て承諾し、責任を持って確実に対応するとの回答があったため、要請の受入れを決定し、北九州PCB廃棄物処理事業を継続しているところですとあります。
 では、環境大臣にお聞きします。
 北九州を含む国内のPCB廃棄物処理事業は予定どおり終了する、延長はないということを確約していただきたいのですが、いかがでしょうか。

○伊藤国務大臣
 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、高濃度のPCB廃棄物は、JESCOにおいて、立地自治体及び地元関係者の御理解と御協力の下、環境保全に配慮しながら、全国五つのエリアに分けて、今日まで適切に処理を進めてきたところでございます。
 今御指摘の北九州事業所については、北九州市及び地元関係者の御理解と御協力の下、平成十六年事業開始後、約十九年にわたり、安全を第一に処理を行ってきたところでございます。
 北九州市との約束である令和五年度末までに事業を終了いたします。

○堤委員
 確約していただきました。杞憂だと思いますが、在日米軍の関係などで事業が延長に追い込まれることはないということかと思います。もしそのようなことになれば、環境大臣に責任を取っていただきますので、よろしくお願いいたします。
 次に、PCBを含む有害廃棄物の排出者責任についてです。
 環境汚染を未然に防いだり汚染を除去したりするのは、有害物質を出す側、排出者の責任です。もしその責任が問われない、免責されるとすれば、排出者はどういう行動を取るでしょう。有害物質を出し続ける、垂れ流しにするという行動を取る、モラルハザードが生じてしまうと考えるのが自然ではないかと思いますけれども、環境大臣の御見解をお聞かせください。

○伊藤国務大臣
 お答え申し上げます。
 一般論として、廃棄物については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律において、事業者の責任において、「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と法律に明記されているわけでございます。
 これを踏まえて、各主体が責任ある行動を取ることが重要であるというふうに環境省では考えてございます。

○堤委員
 現行の日米地位協定によりますと、返還がされた後には、汚染物質の除去や処理について米軍に義務はなく、日本が行うのが通例となっているということですが、これは余りにも不平等ではないかと思います。モラルハザードが生じてしまうと思います。
 日米地位協定が締結された一九六〇年、六十年以上前になりますけれども、今とは環境や人権に対する意識が全く違ってきています。環境汚染に対する意識、健康被害への意識は、アメリカでも日本でも当時では考えられないくらい強くなりました。時代の変化、意識の変化に合わせて日米地位協定を改定すべきであると申し上げておきたいと思います。
 さて、日米地位協定によりますと、返還されていない運用中の基地につきましては、日本政府が肩代わりする明確な根拠はありません。運用中の基地における有害廃棄物の除去や処理及びその費用などについて、米軍の排出者責任をより明確にすべきではないかと思います。
 そこで、PCBに関する二〇〇二年米国方針よりも更に包括的で、履行義務を明確にした日米合意が必要かと思いますが、環境大臣の御見解をお聞きいたします。

○伊藤国務大臣
 お答え申し上げます。
 ストックホルム条約、これを日本は批准しているわけでありますけれども、この条約においては、PCBの廃棄物を適切に処理するために、PCB廃棄物処理特別措置法に基づき、先ほど言及がありましたJESCO等において、処理施設の立地自治体及び地元関係者の御理解と御協力の下、環境保全に配慮しながら処理を進めているところでございます。
 そして、今御質問の在日米軍施設・区域内のPCB廃棄物についても、日本のPCB処理行政の趣旨等を尊重し、適切に対応いただくように、防衛省、外務省と綿密に連携して進めてまいりたいと思います。
 さらに、PCB廃棄物の対応については、日米間でその重要性を共有してきたところでございます。
 これまでの日米間の協議も踏まえながら、適切な処理の完了に向けて、関係省庁と連携して対応してまいりたい、そのように考えます。

○堤委員
 日米間で重要性を共有してきたということでございます。よろしくお願いいたします。
 日本政府は、国の主権を懸けてでも、排出者責任の原則にのっとり、米軍の責任でアメリカ本国へ撤去していただくこと、あわせて、基地の内外の方々の健康被害を未然に防ぐため、環境大臣の責任において一日も早く汚染を除去していただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。