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堤かなめのこれまでの質問

「211回通常国会」(2023年1月23日~6月21日)
「212回臨時国会」(2023年10月20日~12月13日)

第211回国会 衆議院 環境委員会 第3号 令和5年4月4日

○堤委員 
立憲民主党の堤かなめです。
 健康被害を未然に防止するための、アスベストの飛散防止対策について質問いたします。持ち時間は十六分ですので、簡潔明瞭な御答弁をお願いいたします。
 石綿は、アスベストとも呼ばれる天然の鉱物繊維で、耐熱性、耐久性などに優れていることから、各種建材など、幅広い製品として幅広く使用されてきました。しかし、繊維が細い上、発がん性物質が含まれていることから、飛散したアスベストの吸引を要因とする疾病の発症が社会問題となり、現在では、新たな製品の製造、輸入、利用は法律で禁止されています。そのため、アスベスト問題は既に解決済みと思っていらっしゃる方が多いわけですけれども、実は違います。現在でも、建材を中心として数千万トンものアスベスト製品が存在しています。
 国土交通省の推計では、石綿を含む建材が使用されたと考えられる建築物、つまり、一九五六年から二〇〇六年までに建てられた建物のうち、戸建て住宅や木造を除いた建物はおよそ二百八十万棟あり、これらの解体のピークは五年後の二〇二八年頃とされています。そして、これらの解体、改修をする際に、アスベスト粉じんを吸うことにより、従事者や周辺の住民に健康被害が発生することが懸念されております。
 このような社会状況を背景に、一昨年四月、大気汚染防止法の一部を改正する法律が施行されました。この改正法により、規制の対象がアスベストを含む建材全てに拡大されるなど、一定、評価いたします。しかし、アスベスト飛散による国民の健康被害を未然に防ぐにはいまだ不十分な点もあることから、以下、質問いたします。
 一点目に、事前調査についてです。
 改正法により、一定規模以上の建築物の解体等の工事では、アスベストの有無にかかわらず、事前調査の実施が義務づけられました。調査方法も法定化され、書面、目視、専門機関による分析調査などに整理され、さらに、後に述べますように、本年十月からは専門の有識者による調査が義務づけられるなど、事前調査の強化によって建物の所有者負担は大きく増えることになります。
 そこで、事前調査の費用は、例えば、木造二階建て、床面積三十坪の一般家屋でおおむねどの程度になるのか、教えてください。
 事前調査の結果の報告義務違反、状況等をしなかった場合の罰則規定が設けられたことは評価します。しかし、そもそも事前調査をしなかった場合にはどうなるのでしょうか。事前調査を行わない所有者に対する罰則規定も必要かと思いますが、いかがでしょうか。
 事前調査の費用は、危険度の高いレベル一の建材についてはこの費用を補助する制度がありますが、一部の地方自治体では、補助制度がないところもあると聞いています。
 そこで、補助制度がない地方自治体はどのくらいあるのか、お聞きします。その上で、全ての地方自治体で補助制度を使えるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、危険度がレベル一より低いレベル二、三の事前調査費用には全く補助がありません。全ての解体、改修工事等で事前調査が行われなければ、アスベストの飛散を完全に防止することは不可能です。建築従事者や住民の命と健康を守るためには、全てのレベルで事前調査への補助制度が必須と考えます。御見解をお聞かせください。

○秦政府参考人 
まず、事前調査についてでございます。
 事前調査にかかる費用でございますけれども、議員御指摘の三十坪、およそ百平米でございますが、直接ちょっとこれに相当するデータがないのでございますが、それより少し小さい八十平米についてお答えいたしますと、書面調査と目視調査を行う場合のみでございますと、業界団体の調べによりますと、六万円程度から十七万円程度だったというのが、これは二〇二一年度の調査結果でございます。
 続きまして、事前調査を行わない所有者に対しての対応でございますけれども、まず、事前調査の実施それから調査結果の報告につきましては、解体等工事を引き受けます元請業者の義務として規定をされております。そして、調査結果の報告義務違反につきましては罰則が科せられておりますことから、事前調査の実施というのが担保されているんじゃないかと考えてございます。
 なお、所有者につきましては、元請業者から事前調査の結果や作業方法につきまして工事の開始前に説明を受けまして、それを踏まえて作業基準が遵守されるよう工期とか費用などの面で配慮する、こういう義務を負っておるところでございます。
 続きまして、全ての地方自治体で石綿含有建材の種類によらない調査の補助制度を設けるべきではないかという御指摘についてでございます。
 吹きつけ石綿が施工されている住宅や建築物の事前調査については、私どもではないんですが、国土交通省さんにおきまして補助制度の対象となってございます。
 一方、吹きつけ石綿以外の建材を対象とする補助制度というのはないのでございますけれども、環境省と厚生労働省さんとで連携をいたしまして、昨年度から、知事への報告につきまして新たな電子システムの運用を開始するということをいたしております。これは、現場で端末において入力することで、電子情報で報告が済むということで、事業者さんの負担軽減に取り組んでおるところでございます。
 一方、こちらは中小企業向けでございますけれども、石綿含有建材の種類によらない低利融資制度を設けてございまして、これにより、資力に乏しい中小企業者さんにおいては一定の負担軽減が図られているものと考えてございます。
 こうした負担軽減策が適切に今後も活用されるよう、引き続き周知に努めてまいりたいと考えてございます。

○堤委員 
今、事前調査についての実施は担保されているのではないかというようなお答えでございました。ある業者の方にお聞きしますと、元請業者、良心的な方は、そういった知事への報告も電子申請なのできちんとされると思うんですけれども、やはり事前調査に費用がかかるということで、所有者の方がそんなのはやりたくないというふうなことになった場合に、いわゆる闇業者といいますか、そういった方というのが現れてくるのではないかということを懸念される声もございますので、きちんと事前調査がされるように、是非しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 それでは、二点目に、事前調査を行う調査者の確保についてお聞きします。
 半年後の本年十月一日から、解体工事などに伴うアスベスト調査を有資格者が行うことが義務づけられます。有資格者が足りなければ事前調査を行えず、解体工事などに影響が出る可能性もあります。
 そこで、三年前の環境委員会で、政府は、今後三十から四十万人程度の養成が必要になると答弁されていますが、現時点で何人の有資格者を養成できたのか、お聞きします。

○美濃政府参考人 
お尋ねがありました建築物の石綿の有無についての事前調査についてでございます。
 有資格者の必要数の推計につきましては、当初、三十万から四十万人としておりましたが、令和三年に実施した建設業許可事業者等に対する自主点検の結果等に基づき詳細な推計を行った結果、約十一万から十二万人と推計されたところでございます。
 これまでに養成された事前調査の有資格者につきましては、本年一月末現在で約九万人となってございます。
 今後とも、事前調査者の養成を確保し、適切な事前調査が行われるよう、関係機関とも連携してまいりたい、このように考えております。

○堤委員 
よろしくお願いします。
 三点目に、アスベストの除去等への補助についてです。
 アスベストの適切な除去、そして除去作業後から処分まで、徹底した管理が必須です。アスベストが含まれた廃材は他の廃材と区別して特別な処分をする必要もありますので、この点からも所有者の負担は大きくなります。
 そこで、例えば木造二階建て、床面積三十坪の一般家屋で、レベル一、二、三のそれぞれのケースで、除去から処分を行った場合、おおむねどの程度になるのか、教えてください。
 建築物を建てるときにはそんな有害なものとは知らされず、いざ除去や処分をするときに特別な出費を強いられるというのは、所有者の皆さんの理解を超えています。危険度の高いレベル一の建材については費用を補助する制度がありますが、これについても、補助制度がない地方自治体も一部あります。こちらについても、補助制度がない地方自治体はどのくらいあるのか、お聞きします。その上で、全ての地方自治体で補助制度を使えるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、危険度がレベル一より低いレベル二、三の事前調査費用には全く補助がありません。建築従事者や住民の命と健康を守るためには、全てのレベルで補助制度が必須だと考えます。御見解をお聞かせください。

○秦政府参考人 
お答えいたします。
 まず一点目、処分費用についてでございますけれども、解体等工事における除去から処分までの費用なんですが、これは様々なケースがございまして、ちょっと一概にお答えするのは難しいという状況でございます。
 ただ、一般論で申し上げますと、吹きつけ石綿あるいは石綿含有断熱材、いわゆるレベル一、二のものにつきましては、作業現場でシートで養生する、囲いを作ったりですとか、あるいは作業員の防護衣、衣服ですね、こういったものを準備して着用してもらう、こうしたことが必要でございますことから、例えばスレート板のようなレベル三の建材に比べますと、やはりどうしても除去費用は高額になるということが想定されます。
 また、処分費用につきましても、レベル一、二建材は特別管理産業廃棄物ということになりますので、処分費用は高額になるということで、やはりレベル一のものについては費用がかかるというふうに認識をいたしています。
 こういった除去作業に対するコスト面での支援の話なんですけれども、吹きつけ石綿が施工されております住宅や建築物につきましては、先ほど申し上げた国土交通省さんの補助制度の対象にはなってございます。
 一方で、それ以外のものについては直接的な補助制度はないのでございますけれども、私どもはマニュアルを作っておりまして、その中で、簡便であり、かつ効果の高い除去方法ですとか、あるいは事業者向けの講習会を実施するなどして、こういった技術支援によりまして事業者の負担軽減に取り組んでおるところでございます。
 また、先ほども言及させていただきましたが、中小事業者さんに向けましては、低利融資制度で、これは調査のみならず、石綿の除去を、これもレベル一、二、三を問わずなんですけれども、対象としておりまして、こうした負担軽減策が今後も引き続き活用されますように、しっかり周知に努めてまいる所存でございます。

○堤委員 
事前調査についても、まず、レベル一についてはあるけれども、結局、自治体によって、ないところとあるところがあって、こういった解体の補助費用もそうなんですけれども、建物の所有者ですとか事業者さんとかがどこに住んでいるかによって補助制度を使えたり使えなかったりするというのはちょっとおかしいのではないか、公共サービスの公平性という点でもおかしいですし。
 町、地域や地方自治体の主体性、自主性を尊重するということは大事なんですけれども、それは、三割自治と言われていますように、地方に財源が足りない状況があるわけで、それをしっかりもっと、やはり財源も含めて国としてきちんと規制していただきたい。環境規制ですとか、先ほど篠原委員からもお話がありました神宮外苑の緑を守るとか、そういったことについてはやはり国の責任できちんと行っていただきたい、何のための環境省なのかと思いますので。どの地域においても平等に補助制度が受けられるように、環境規制については、住民の命と健康を守るという視点から是非お考えいただきたいと思っております。
 まだ二点ほどあったんですけれども、ちょっと時間が来てしまいましたので、また次の機会に質問させていただきたいと思いますので、いい御答弁を御用意していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。終わります。